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自律神経失調症の診断

 

自律神経失調症

   


訴訟中、裁判官が繰り返し支持し続けたのは、被告側による、「ダグラス氏の症状は“自律神経失調症”に起因するものである」という根拠のない主張でした。

「自律神経失調症」とは日本で一般的に使用される診断用語であり、次の場合ではよく使われているようです。(A)心因性の症状であり、さまざまなストレスや不安から引き起こされる。(B)種々の自律神経系の不定愁訴であり、特に原疾患を特定できない場合に用いられる。

皮肉なことに、ベンゾジアゼピン依存症は自律神経系の機能亢進とともに上記(A)と(B)の両方とも引き起こすのです。

それゆえ、この曖昧な被告側が用いる用語を信憑性の高い根拠として裁判所が受け入れてしまっていること自体、根本的に間違っている上、誤解と混乱そして誤審を招く大きな要因となっているのは確かです。このことは、まさに、アシュトン教授のいう「おかしな考え方」のひとつの例であるといえるでしょう。

しかも、「自律神経失調症」と診断されたのはベンゾジアゼピン処方開始後7か月経過してからのことです。そのとき初めて「自律神経失調症」と診断されたのです。この事実を裁判所は全く配慮しませんでした。また裁判所は、その「自律神経失調症」と診断された時、私は心身共に完全に薬物依存症の影響下にあり、普通の状態、つまりいつもの私自身ではなかったことも考慮しなかったのです。

アシュトン教授が立証しているように、ベンゾジアゼピンは中枢神経系および中枢神経系によってコントロールされている自律神経系(交感神経と副交感神経)を含む神経系全体に影響を及ぼします。ベンゾジアゼピンを服用すると、はじめは神経系の機能の低下がみられますが、常用するようになると耐性が生じ、神経系全体に機能亢進がみられるようになります(上告理由書の別紙5A参照)。

アシュトン教授は次のように続けます。「自律神経系はあらゆる原因により起こる不安症やストレスに反応します。ベンゾジアゼピン耐性、依存症及び離脱の全てはストレスと不安症を発現させますので、自律神経系の反応はその他いかなる種類の不安症の反応とも同じです」(上告理由書の別紙5D参照)。

上記のアシュトン教授のコメントを受け取ったのは、残念ながら、高等裁判所の判決後でしたが、ジャドスン医師が既に以下のことを説明していました。ベンゾジアゼピン系薬剤は、治療する筈である症状それ自体を逆に引き起こすことがある。例えば、不安による症状を抑えようとして、ベンゾジアゼピンを服用するのだが、服用することによって、逆に不安障害およびその関連症状を発症するということです。ストレスからくる症状とベンゾジアゼピン依存症の症状の些細な違いを診断して見分ける方法の詳細(中毒治療科第3報告書3.3項目)。裁判官はこのことについてまったく考慮せず、判決にも反映されていません。

たとえば、ストレスが増大していた時期(裁判中)に、依然として良好な健康状態を維持していたという事実が考慮されていませんでした。この事実は、私が、被告側から主張されたような「自律神経失調症」や不安障害になりやすいタイプの人間ではないということを裏付けていることは明らかです。これについては、原告第3陳述書H項目および中毒治療科第3報告書3.3項目ではっきりと概説しています。

自律神経失調症という診断に関するもう一つの問題は、診断名そのものが誤解を招くということです。ストレス状態や不安状態にある時でも、あるいはベンゾジアゼピン依存状態にある時でも、どちらの場合も、神経系全体が過活亢進し、多様な症状が出現し得ります。この現象はそういう状況や状態に対する身体のごく自然な反応であり、いわゆる「失調」あるいは障害(disorder)ではありません(上告理由書の別紙5のE参照)。

添付のアシュトン教授による説明で示されているように、私は、裁判所に対して、「自律神経失調症」という曖昧で誤解を招きかねない診断名に関わる問題に注目するよう促すために、最後の努力を注ぎました。その試みは、最高裁判所への上告理由書の2.2.4~2.2.6項目に書かれています。


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理屈なのか

To argue that someone wasn’t benzodiazepine dependent because their nervous system was hyperactive resulting in associated symptoms (called Autonomic Nervous Disorder in Japan, even though it’s not a disorder…) makes about as much sense as trying to rule out fire based on the fact there was smoke.

Even in cases where patients may have had a hyperactive nervous system and associated symptoms prior to commencing their prescription drugs, benzodiazepine dependency can make this condition worse – a lot worse!

So, when prescribed long term, which is against recommendations, it can be like trying to put out a fire with gasoline - doused initially, but then leers up with much voracity making it much-much worse than before.

Hence the reason why it is recommended they are not prescribed for more than 2-4 weeks…


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ご理解ください

ベンゾジアゼピン離脱は深刻な疾患である。患者はたいてい恐怖に怯え、しばしば激しい痛みに晒され、偽りなく疲弊し切っている。この疾患の激しさや持続期間は医療従事者や看護師から過小評価されやすく、彼らは禁断症状を“神経症(neurotic)”によるものと簡単に片付けようとする傾向がある。実際は、患者に落ち度はないにも拘わらず、彼らは多大な心身の苦痛に悩まされている。」

Benzodiazepine Withdrawal ベンゾジアゼピン離脱症状:An Unfinished Story. 終わらない物語 C.H.アシュトン教授 1984 参照)。


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重要なポイント

   


注目すべき点は、中毒治療科第3報告書3.1.9項目でも指摘されていますが、考えられないほどに強烈なストレスであるはずの日本での裁判手続きの期間中でも私の健康状態はどんどん良い方向へ向かっていったことなのです。

私の健康状態を示すこの事実は、私の症状が単に不安神経症/ストレス(自律神経失調症)からくるものであり、また私にはその体質であるとする被控訴人側の主張を覆すに十分なものです。

その理由、ストレス(自律神経失調症)になりやすい体質で、ストレスに苦しんでいる人が強烈なストレス環境の中で健康状態が回復するなんてことはありえないからです。これでは全く理屈に合いません。

このように上記のことは明白であるのに高等裁判所の判決には含まれませんでした(「裁きは公正ですか?」参照)。


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煙幕として完璧なワード

   


私の係争はまず調停から始まりましたが、当初から被告人がとった作戦の中心は、“混乱させること”にあったように思えます。私の弁護士もチェックした原告第1陳述書の7項には次のように書かれています。「私の側の主張とX医師・Sクリニック側の主張は,全く噛み合わず,調停委員も呆れていました。」

しかしながら、東京地裁に進み、ジャドスン医師が争点としてDSM-IV-TRの 適用を取り入れた後、被告人は具体的な問題に対処せざるを得なくなりました。そこで彼らは、混乱を引き起こす要素を維持するためには、新たな作戦を見出す 必要がありました。(私の当時の弁護士によると、疑わしいことがある場合は、通常、被告人は証拠不十分として無罪になるそうです。)

ここで、「自律神経失調症」という、目眩まし、煙 幕として完璧なワードが登場してきます。この「自律神経失調症」という用語は、西洋では認められていないため、欧米では決して通用することはないだろう し、私のような薬物依存のケースでこの用語を持ち出すことは全く不適切でナンセンス(上記参照)であるにも拘わらず、この日本では、私の依存や中毒、そし てそれにまつわる損害に対するいかなる責任を回避するという被告側の目的を達成するために有効であったことは明白です。そして、裁判所はこの診断名を喜ん で支持することになったのです。


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おかしくないですか?

裁判を始めて以来、沢山調べて気付いたことは、医師達が、単に、ある状況や環境に対する身体の自然な反応と考えられる状態の多くにさえ、“障害(disorder)”という言葉を用いて病気のレッテルを貼る傾向が強まっているということです。

ストレスが原因となっている場合、現実には、実践的なストレス・マネジメントを活用したり、実用的な方法でその原因に対処したりして、神経系機能の過亢進とそれに伴うストレス性症状を軽減させることが可能です。そこに薬は必要ではありません。

それでは、一体どうして、こんなに沢山の小洒落た診断名や薬があるのでしょうか?

誰の責任?


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ジョン・マースデン

「もし何かの薬を飲み続け、それが長い長い災難をもたらし、あなたからアイデンティティをまさに奪い去ろうとしているのなら、その薬はベンゾジアゼピンに違いない。」

ジョン・マースデン医師
ロンドン大学精神医学研究所
2007年11月1日

フィリップ・ウーラス

「我々の社会において、ベンゾは他の何よりも、苦痛を増し、より不幸にし、より多くの損害をもたらす。」

フィリップ・ウーラス下院議員
英国下院副議長
オールダムクロニクルOldham Chronicle (2004年2月12日)

ヴァーノン・コールマン

「ベンゾジアゼピン系薬剤はおそらく、これまでで最も中毒性の高い薬物であろう。これらの薬を大量に処方してきた途方もなく大勢の熱狂的な医師達が、世界最大の薬物中毒問題を引き起こしてきたのだ。」

ヴァーノン・コールマン医師

薬という神話 (1992)

デイヴィッド・ブランケット

ブランケット下院議員、ベンゾジアゼピンについて語る。

「これは国家的スキャンダルである!」

デイヴィッド・ブランケット(英国下院議員)
1994年2月24日

マルコム・レイダー

「ベンゾジアゼピンから離脱させることは、ヘロインから離脱させるよりも困難である。」

マルコム・レイダー教授
ロンドン大学精神医学研究所
BBC Radio 4, Face The Facts
1999年3月16日

アイロニー

What are benzos for again?

The only time I’ve ever needed to visit a psychologist in my life was AFTER (wrongfully) being prescribed benzodiazepines…

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