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心理士 報告書

 

アラン・ガイ医師

(翻訳文)

甲36号証訳文        翻訳作成者 代理人弁護士

                       なお,[ ]内は,訳文作成者が補った部分である。

 

アラン・ガイ上級臨床心理士

198 Carrington Street
NEW PLYMOUTH
Tel: 06 753 9222


2007年[平成19年]4月27日

関係当事者殿


ウェイン・ダグラス(9-9-66)に関して


私は,2001年[平成13年],ニュージーランドにおける公衆精神衛生科での上級臨床心理士としての役割を果たす上でダグラス氏[本件原告]と関わりを有したが,その関わりについて書簡を送付するようにと依頼された。

ダグラス氏は,2000年[平成12年]日本滞在中,X医師[本件被告XX]の下で有害なベンゾジアゼピン療法を受けたところ,本書簡を,上記療法の惹起したダグラス氏の生活に対する明らかに長期間に亘る悪影響についての私の専門的見解の記載として受け容れて頂きたく要請する。

2000年[平成12年]の医師の処方箋が無ければ入手不能の薬剤[X医師の原告に対して処方したベンゾジアゼピン等]による療法と,その結果惹起された依存症とは,ダグラス氏の職業的且つ社会的生活に劇的な,心身共に有害な影響を齎したと思料される。同氏は,すべきことを入念且つ機敏に行う働き手であったのに,殆ど全面的に無能力な者へと突き落とされ,仕事を不十分にしか追行できなくなり,結局,辞職のやむなきに至ったのであった。

ダグラス氏は,上記の彼の体験の後,日本に滞在し続けることが可能な健康状態を無くした。同氏は,同氏の薬物[ベンゾジアゼピン]依存症に関するジャドスン医師の報告書[甲A8号証,甲A13号証,甲A16号証]において同医師が概略を記載した夥しい厄介な副作用を患っていた。これらの副作用はまた,混乱,集中力喪失,情緒不安定,気分の著しい動揺,攻撃性,抑鬱,執拗に起こるパニック発作といった多くの心理的症候を含んでいた。ダグラス氏は,これに先立って,パニック発作を含む心理的障害の病歴を有していなかったにもかかわらず,である。

ダグラス氏は,ニュージーランドに帰国してリハビリ療法を受けた後,日本での上記の苦しい体験の意味をようやく了解した。その結果,同氏は,強い不公正感を抱き,結果的に彼が堪え忍ぶこととなった数々の損失,ダメージ及び被害に対する賠償を求める必要が有ると感じるに至った。

[ダグラス氏が治療を受けていた]アルコール・薬物科の[主治医であったジャドスン医師作成の]報告書[甲A8号証,甲A13号証,甲A16号証]によれば,ダグラス氏は,[ベンゾジアゼピン服用を]中止してから1年以内に殆どの薬物症候から癒えるに至ったとのことである。しかしながら,ダグラス氏がベンゾジアゼピン療法を受けていた間に執拗に起こるようになったパニック発作は,慢性化して,現存しており,今日に至るまで引き続いて起きているのである。パニック発作が現在に至るまで執拗に残存していることの原因は,依存症になったことの初期の心的外傷[トラウマ]であると共に,その後の損害賠償請求,別けても,ダグラス氏自身の母国・母語とは異なる国で異なる言語を用いてと いう条件下における損害賠償請求である。

ダグラス氏は,私に,次の通り,話した。すなわち,これらのパニック発作は非常に厳しいものとなったので,2006年3月日本長野での職を辞さなければならなかった一時期が有った。また,ダグラス氏は,[現在勤めているブリティッシュヒルズにおいて]正規のフルタイムの雇用時間の半分でしかない1週間約20時間の勤務時間の雇用をこなして行くのに相当の努力を要するのである。

ダグラス氏にとってストレス高きこととはいえ,同氏が日本に戻って,損害賠償請求のために時間を費やしたことは,同氏にとって,[ベンゾジアゼピン中毒の心理的後遺症から]癒されて行くプロセスの一部として重要であったと理解される。日本で賃金労働に再度就くことはまた,同氏にとって,心理的障壁を克服することでもあった。同氏は,このことには成功したのだけれども,依然として,同氏の能力に相応しい,フルタイムの,何らかの超過勤務を行ったりより高度の責任を果たしたりする労働能力を取り戻すことが出来たとは言えない。それゆえ,同氏は,同氏のキャリアを向上して行くことが出来ず,収入を得る能力は大きく損なわれて,現在に至る。

そうした労働上の明白な障害とは別個に,ダグラス氏の私生活に対する悪影響もまた重要である。上記の依存症のトラウマは,裁判[調停]のストレスや時間の費消と相俟って,友人や家族との関係と,全般的に同氏の生活の質とを損なうこととなった。

ダグラス氏は生理的症候からは回復したし,表面的には健康に見えるかも知れないけれども,同氏の味わった苦しい体験から癒されておらず,患い続けているのである。その結果,同氏は,再び完全に正常な生活を送るに至り得ていないのである。

私見では,同氏が,同氏の元来の主訴[めまい]に対して適切な治療を受けていれば,特に何の問題も無い回復を遂げていたであろう。しかしながら,同氏が初期に受けた治療は,同氏の機能を社会的にも職業的にも深刻な度合にまで低下させてしまった。同氏は,薬物[ベンゾジアゼピン]治療によってトラウマを負い,適切な治療を得るために懸命に努力した。同氏の能力は,いずれ,回復することとなろうが,ウェイン[ダグラス氏,本件原告]はX医師[本件被告]から受けた治療によって大きく損なわれたのであって,同医師の治療は,ダグラス氏の一生に今後も長期間の悪影響を及ぼし続けることとなろう。

敬具

     アラン・ガイ上級臨床心理士

 


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ジョン・マースデン

「もし何かの薬を飲み続け、それが長い長い災難をもたらし、あなたからアイデンティティをまさに奪い去ろうとしているのなら、その薬はベンゾジアゼピンに違いない。」

ジョン・マースデン医師
ロンドン大学精神医学研究所
2007年11月1日

フィリップ・ウーラス

「我々の社会において、ベンゾは他の何よりも、苦痛を増し、より不幸にし、より多くの損害をもたらす。」

フィリップ・ウーラス下院議員
英国下院副議長
オールダムクロニクルOldham Chronicle (2004年2月12日)

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